『ペルシャ猫は誰も知らない』

映画『ペルシャ猫は誰も知らない』鑑賞してみてイスラム世界ってわからない。習俗や考え方も。民主主義の体裁は取っていても、強権的な指導者が多く、しかもそこに宗教まで強く絡んでくるから、余計こんがらがってくる。バイクに乗るのにヘルメットは被らなくてもいい上、3人乗りまでしている。が、警察は何も言わない。
しかし、犬を車に乗せて走ることに対しては、厳しく取り締まる。イランでは、犬は不潔だから外出禁止なんだと。
政治的な音楽や、イスラム的な音楽以外はダメということは何となくわかるが、その境界線はどこにあるのだろう?楽器を持って街を歩くことについては大丈夫そうだが。
女性ボーカルは3人以上いないと許可にならないという話もあr、これも何となくわかる気がする。だから、アシュカンが女性ボーカルを探しに行ったとき、レコーディングしていたメンバーを映した映像はピントが合っていなかったんだろうな。しかし、こんな中で、撮影は無許可で行われたという。その後の取り締まりは厳しくなかったんだろうか?勇気あるよな~
しかし、こんな外から見るとがんじがらめのような世界でも、音楽を楽しむ人間は大勢いるし、アシュカンのように外国に出たいと思わず、とあるラッパーみたいに、「この国の言葉で街の人の心に訴えたい」と言う人間もいる。
ちょっとだけ勇気の沸いてくるシークエンス。偽パスポート作りの老人が逮捕されて、約束を守れなくなったことを悲観したナデル(ハメッド・ベーダード)が、パーティーで酔っぱらっているところを探しにきたアシュカンだったが、そこに手入れがあり彼は窓から飛び降りて重症を負う。ネガルもそれを知り、屋上から身を投げるラスト。
まだまだこの国の将来には、作者は明るいものを見出せていないんだなと思わせる。